2025年9月に株式分割される上昇期待の銘柄3選

- 2025年9月に株式分割を行う3銘柄の特徴と選定理由
- 分割後に起こりうる需給バランスの変化と株価上昇シナリオ
- 分割前に押さえるべき5つのステップによる投資判断フレームワーク
まず本記事で取り上げる澁澤倉庫の分析結果を提示します。
△で様子見となっていますが、安定性と累進配当宣言でポイントが高く、下げたところを狙いたい銘柄です。ご興味があれば本文をご参照ください。(各指標は8/19時点です)

割安性をはかる安全域などの指標については↓

背景:なぜ9月に株式分割銘柄の上昇チャンスが訪れるのか?
2025年9月に株式分割を予定する銘柄は約30社にのぼります。
これは、東京証券取引所の「最低投資金額を10万円程度に引き下げる要請」を受け、企業側が9月の株式分割で個人投資家の参入を後押しするための動きです。
そして株式分割後は投資ハードルが下がり、新規買い需要が高まることで株価の上昇圧力もかかりやすくなります。
なお、詳しい分割予定銘柄一覧はSBI証券公式ページでチェックしてください。
SBI証券 株式分割情報
株式分割銘柄の上昇は確実?売り需要リスクにも要注意
さて、9月の株式分割は「上昇期待」が膨らむ一方で、分割後の売り需要が株価を押し下げるケースもあります。
特に大型の銘柄ほど、既存株主による部分売却の心理的ハードルが下がるため、上昇と同時に下落圧力も意識した方がよいです。
売りやすくなる投資心理
- 分割前は100株だけの保有なので、売るとなれば全株を売る必要があった
- 分割後は株数が増えて一部を売却しやすくなる => 売り注文が増加
このように、9月の株式分割銘柄を狙うときは、買いによる上昇だけでなく、売りによる反動にも気を配る必要があります。
ケーススタディ:NTT(9432)の1:25分割後の上昇とその後の下落
- 分割実施日:2023年7月1日
- 分割比率:1株→25株
- 分割直後:買い需要で一時的に株価上昇
- 2024年4月以降:業績悪化の発表とともに下落トレンドへ転換
- 主因:2024年度決算速報で営業利益が前年同期比-14.2%減を示し、市場センチメントが悪化
- 教訓:株式分割で投資ハードルを下げても、分割後の業績と市場心理が上昇・下落を大きく左右する
NTTの事例は、9月の株式分割で目先の上昇を狙うだけでなく、業績やセンチメントを併せてチェックする重要性を示しています。
買い需要 vs 売り需要:9月の株式分割銘柄はどちらに引っ張られる?
次に示す買い需要と売り需要を検討することになります。
要因 | 内容 | 株価への影響 |
---|---|---|
買い需要 | 「安く買える」と感じて参入する新規投資家 | 上昇圧力 |
売り需要 | 「一部だけ売ろう」と思う既存株主の部分売却増加 | 下落圧力 |
このように、9月の株式分割銘柄を選ぶ際は、この需給バランスを見極め、上昇トレンドを捉えることが成功の鍵となります。
分割前にすべきこと:投資判断のための5ステップ
ここまで、単純に「分割後に買いやすくなる」という理由だけでエントリーすると、思わぬリスクを抱える可能性がある点にふれました。
つまり、株式分割前には企業の狙い、配当・優待の変更、そして需給動向などを事前に確認し、冷静かつ戦略的な投資判断を行うことが重要です。
そのため、以下の5ステップに沿って、分割前のチェックポイントを確認することをお勧めします。
内容 | チェックポイント |
---|---|
企業の分割目的を確認 | IR資料・定款変更の有無 |
最低投資金額を試算 | 分割後に買いやすく、上昇余地のある水準か(10万円前後が目安) |
配当・優待の変更を確認 | 継続保有条件・増減配 |
需給バランスを予測 | 買い需要 vs 売り需要の潮目を判断 |
基準日までに保有検討 | 9月26日が権利付き最終日 |
注目銘柄3選+分割後の需給バランス予測(9月の株式分割で上昇を狙う銘柄)
ここでは、2025年9月に株式分割を実施する銘柄の中から、投資家が押さえておきたい3銘柄をピックアップします。
需給バランスの変化が株価に及ぼす影響は銘柄ごとに異なります。
それぞれの銘柄が分割後にどのような需給動向を描くのかを予測し、上昇局面を狙ううえで押さえるべきポイントを確認します。
🏗 栗本鐵工所(5602)【1株→5株分割】
最近は上昇に一服感が出ていますが、もう少し下げたあとに再度浮上する場面があると予想しています。分割に向けて少し様子を見たい銘柄です。
- 現在株価:7,680円
- 分割後最低投資金額(予測):約15.4万円(1,536円×100株)
- 分割目的:流動性向上・投資家層拡大
- テーマ性:鋳鉄管シェア2位、下水道管更新の需要で関連テーマ銘柄として注目度急上昇
- 配当:実質変わらず
- 需給予測:買い優勢。9月の株式分割銘柄としても上昇に向け底堅く推移期待

🏦 名古屋銀行(8522)【1株→3株分割】
名古屋銀行は現在株価が高い分、株式分割を通じて流動性が大きく高まると予想されます。
日銀による利上げは既定路線のため、分割後の需給バランスは良好、下がっても買われる展開が続くと予想します。
- 現在株価:9,290円
- 分割後最低投資金額(予測):約31.0万円(3,100円×100株)
- 分割目的:投資単位引き下げ
- テーマ性:地銀再編、利上げ期待。米ウエリントン6.3%出資、PBR0.5倍台で割安銘柄として再評価期待
- 配当:実質変わらず
- 株主優待:2026年以降、継続保有条件を追加
- 需給予測:買い優勢。利上げ期待で上昇トレンドに支えられる見込み

🚚 澁澤倉庫(9304)【1株→4株分割】
本記事の冒頭に銘柄分析を掲載しています。特別なテーマ性がない中で直近でかなり株価が上昇しているため、割安性の観点で懸念があります。
そのため評価としては△で様子見となっていますが、安定性評価が高く、さらに累進配当を宣言しています。
下がったとしても底堅い推移が予想できるため、下げたところを狙いたい銘柄です。
- 現在株価:4,460円
- 分割後最低投資金額(予測):約11.6万円(1,115円×100株)
- 分割目的:投資単位引き下げ・流動性向上
- テーマ性:累進配当宣言、物流インフラ銘柄のインフレ耐性と安定配当が魅力
- 配当:実質変わらず
- 需給予測:やや買い優勢。9月の株式分割で上昇を狙う銘柄としても底堅く推移予想

まとめ:9月の株式分割で上昇期待の銘柄の見極め
株式分割は企業成長戦略と市場心理が交差するイベントです。
9月の株式分割銘柄を選ぶ際は、分割の目的、買い需要と売り需要のバランス、そして分割後の業績・センチメントを総合的に判断することになります。
そして本記事で紹介した5ステップを踏んで権利付き最終日までにポートフォリオを構築し、冷静な売買シナリオを描いて上昇トレンドを捉えたいところです。
