【今週のピックアップ銘柄】積水化学工業ー2025年9月1週ー

DOE3%+ペロブスカイト太陽電池+下水道インフラ関連で注目:積水化学工業
引用元:積水化学工業株式会社
今週のピックアップ銘柄:積水化学工業(4204)
積水化学工業は幅広い事業ポートフォリオを持つ大手の化学メーカーです。
たとえば、住宅で使われる素材、自動車の高機能プラスチック、上下水道や工場で利用される給水管パイプ、さらにはメディカル関連などの幅広い事業展開が特徴です。
そして、なんといっても注目度の大きい2つの国策に関わる点が大きな魅力です。
積水化学工業の注目点、国策その1:ペロブスカイト太陽電池
注目の国策一つ目はペロブスカイト太陽電池。
次の日本経済新聞の引用記事に示されるように、経済産業省が開発支援を約束しています。2035年までに1兆円規模の市場に成長が見込まれています。
さらに一部では2040年までに4兆円まで成長するとの観測もあります。
引用元:次世代太陽電池、経産省が開発支援を拡大 パネル+ペロブスカイト「2枚重ね」 発電効率1.5倍に – 日本経済新聞
このペロブスカイト太陽電池は積水化学工業が独自に開発したものです。まさにこの国策の一丁目一番地、ど真ん中にある企業といえます。
したがって、長期に渡ってこの国策の恩恵を中心的な企業として享受することが可能です。
積水化学工業の注目点、国策その2:下水道インフラ
さらに注目の国策の二つ目として、下水道インフラの更新が挙げられます。
次に引用する日本経済新聞の記事を引用します。政府はなんと総額20兆円もの事業規模で老朽化した下水道管の更新にあたることを閣議決定しました。
引用元:老朽インフラ更新に20兆円 政府、国土強靱化計画を閣議決定 – 日本経済新聞
もちろん、この下水道インフラ更新の国策については積水化学工業の他にも多くの企業があり、ペロブスカイト太陽電池のように主役銘柄とまではいかないかも知れません。
たとえば日本ヒュームや、筆者も保有している栗本鐵工所といった中心銘柄があります。
そちらの方が早期の資金流入は期待できるでしょう。
しかしながら、積水化学工業にはこの分野でもこの会社にしかない特筆すべき技術があることと、まだそれほど下水道インフラ関連銘柄として認知されていないこと、がメリットと言えます。
換言すると、日本ヒュームなどは既に大きく上昇してしまっており、期待先行の上げが著しい状況でもあります。
その点でも、積水化学工業のような長期でじっくり上昇する銘柄を好む方も少なくないはずです。
20兆円もの莫大な資金が長期にわたって流入するため、当たれば大きいテーマです。
下水道インフラ関連での積水化学工業の注目点
国策その1については文句なく主役銘柄なので、ここでは国策その2について見ていきます。
下水道インフラ関連で積水化学工業に注目すべきポイントについて深堀します。
下水道インフラ更新の実情:ほんとにできる?
各地で老朽化した下水道管の事故が後を絶たず、早期のニーズがあることは確かです。
しかし、全国の自治体で既存の下水道管を交換するのは現実的ではないとの見方があります。
つまり、全ての老朽化した下水道管を交換するには、莫大な資金、時間、労力が必要とされるということです。
次に引用する日本経済新聞の記事によると、資金面では水道料金を大幅に値上げしなければ賄えないという試算もあります。
引用元:老朽水道管、更新資金足りない 財務省研究所「平均8割値上げ必要」 – 日本経済新聞
それにしても8割の値上げとはえげつないですね😅
また、工期の面でも、大規模な下水道管を取り換えるには数週間から数か月かかるとも言われています。
とはいえ下水道管は必要不可欠なライフラインのため、どうにか実施しなければなりません。
こういった事情から、コスト削減、工期短縮といった強いニーズが出てくると考えられます。
積水化学工業の注目点
積水化学工業には下水道インフラ関連の銘柄として注目に値する独自の老朽管更生工法があります。
その名もSPR工法。
管路更生システム「SPR工法」|世界にまた新しい世界を。|積水化学
SPR工法は、既存の老朽化した下水道管の内部から薄いパイプの膜と樹脂でコーティングを施すことによって補強する工法です。
この工法であれば、既存の下水道管を取り出す必要もなく、コスト、工期とも抑えることができると言われています。
特に大規模な下水道管については道路を封鎖する必要もなくなり、その効果は非常に大きいと期待されます。
また、積水化学工業は日本だけでなく北米や欧州などの海外でも売上を伸ばしており、今後の世界経済の成長の恩恵を受けられる企業です。

積水化学工業の業績、株主還元

通期業績推移は派手な上昇こそないものの、堅実に右肩上がりの上昇を示しています。
この実績からも今後の安定した事業成長を見込めます。

有利子負債は少なく、自己資本は増加傾向にあるため財務面も問題ありません。

株主還元姿勢は申し分なく、14年連続増配中、かつ自社株買いも毎年実施しています。
積水化学工業に投資するにあたっての注意点
環境ライフラインの売上比
まず、売上構成比としては住宅の約40%、高機能プラスチックスの約34%に次ぐ18.2%が環境やライフラインとなっています。

ここが、冒頭でも触れたようにこのテーマの主役級の銘柄ではないゆえんでもあります。
つまりライフライン事業が大きく伸びたとしてもベースが小さいため、株価の急騰を演じるまでの上昇にはならないかも知れません。
この点については、やはり積水化学工業のこれまでの実績を鑑みて、長期に渡って安定した事業成長に期待して投資する、というスタンスになると考えられます。
配当利回り
下図に示すように、現状は配当利回りが過去3年レンジで最低水準となっています。

利回りで物足りなさがあるのは事実ですが、今後の増配に期待して長期保有できる銘柄です。
✅今週のピックアップ銘柄:積水化学工業 まとめ
積水化学工業はペロブスカイト太陽電池の主役銘柄です。
さらに直近で注目度大の下水道インフラの銘柄としても注目に値します。
複数の国策に絡む優良銘柄として安心して保有し続けることができるのが強みです。
通期の業績は安定した右肩上がりであり、来期には15年連続の増配も達成見込みです。
まさに長期保有にうってつけの銘柄といえます。
筆者もS株で30株保有していますが、機を見て単元まで増やしたいと考えています。
以降は市場概況です。
市場概況:週半ばから43,000円台に復帰
ここでは、主要な指標を見ながら今週を振り返りつつ、次週での立ち回り方、戦略を考えたいと思います。
🔢 主要指標(2025年9月5日時点)
日経平均 & TOPIX
25日線の支えに、トランプ大統領の関税率引き下げの大統領令への署名で大きく反発。最終的に43,000円台を回復。


日経平均PERの推移
毎週しつこく書いてますが、過去のPER推移からみた日経平均のPERレンジは総悲観で12倍、総楽観で16倍。
そして少し下げた日経平均ですがそれでもPERは17倍を超えた水準で、想定レンジを超えた動きになっています。
なお、下の図の薄い緑のレンジがPER14~16倍となりますが、まだこのレンジを上回っています。


バリュエーション面では割高であることを十分意識したうえで取引に臨みましょう。
これは来期のEPSの成長を先取りした株価上昇です。
似たようなPERの推移はアベノミクスのときにも見られ、このときは決算発表でEPSが上昇して一気に適正PERレンジに戻ったことがあります。
今回もそうなることは期待しつつも、引き続き来期に向けてEPSの動向には注意しましょう。
騰落レシオ

週半ばからの反転上昇で騰落レシオはまた上昇。
いまだ25日は130超えですので、本格的なエントリーはさらに下げてからと考えています。
なお、筆者は「25日の騰落レシオが90を下回る水準で買う」、という単純なルールだけでもかなり勝率が上がると考えています。
いまはヤマハ発動機など、下値が限定的な銘柄を少しずつ拾う戦略をとっています。
空売り比率

40倍を超える日がちょくちょく出ており、下落傾向が見え隠れしたものの、最終的にはやはり40を切る推移になっています。いまだ買い方優勢とみることができます。
投資主体別 売買状況とドル建て日経平均

先週も引き続き海外勢が売り、個人が買っているため、下落傾向が鮮明でした。今週の分は来週木曜日に発表されるので注視しましょう。
やはり事業法人による買いは継続的に続いており、下支えになっています。
市場概況まとめ
日経平均のPERは過去レンジ(12〜16倍)の上限を超えている。このままEPSの伸びが伴わないまま株価が上昇すると、PERが16倍を超える危険な兆候となる。
つまり現在の株価水準は「かなり割高」と評価されるが、今後の企業収益の伸びが伴うかどうかが最大の焦点。
図表などは世界の株価と日経平均先物 リアルタイム チャート及びマネックス証券の銘柄スカウターを引用しています。


