【今週のピックアップ銘柄】太陽HDー2025年9月4週ー
総還元性向100%+大幅増配、中計でROE30%を目指すと発表で注目:太陽HD
本記事で使用するピックアップ銘柄の株価指標は2025/9/25時点の値です。
今週のピックアップ銘柄:太陽HD(4626)
今週はいつもと少し趣の異なる銘柄:太陽HDを取り上げます。
太陽HDはエレクトロニクス事業を柱とし、電子基板で必要不可欠な材料であるソルダーレジストを主力とした化学材料の製造販売を行う企業です。
以下は太陽HDのエレクトロニクス事業の紹介文です。
引用元:エレクトロニクス事業│太陽ホールディングス株式会社
太陽HDはソルダーレジストで世界シェア55%を占めるトップ企業です。
さらに第2の事業として医療関係があります。
売上高についてはエレクトロニクスが68%、医療・医薬品が26%を占めています。利益でみると90%がエレクトロニクスが占めている状態です。

やはり柱はエレクトロニクス事業と言えるでしょう。
太陽HDの注目点
それでは太陽HDに注目点について見ていきます。
還元方針の見直しで総還元性向100%
以下は3/24の日経新聞の記事抜粋です。
引用元:太陽HD、総還元性向100%へ 今期配当は110円引き上げ – 日本経済新聞
還元方針を変更し、中期経営計画では少なくとも28年3月期まで総還元性向100%とする方針を発表しました。”少なくとも”、なのでさらに継続することも期待してしまいますね。
そして今期の配当金は方針に則り、110円の大幅増配で190円となっています。
なお、更新前でもDOE5%を掲げていたので、もともと意識の高い還元方針がさらに高まったということになります。
中期経営計画でROE30%を目標に
そしてROEですが、8/28発表の中期経営計画にてなんと驚異の30%を目指すと記しています。
引用元:太陽HD、中期経営計画
現在のROEが10%でこれでも東証平均水準より高くて優秀です。それを2030年までにさらに3倍まで上げていくのだからとてつもなく高い目標です。
さらに以下に示すように営業利益は現状の220億円から倍以上の470億円にもなるとしています。利益面でのここまで高い目標はなかなかお目にかかれません。
引用元:太陽HD、中期経営計画、20250828_01.pdf
太陽HD側もそれだけの自信があるということなのでしょう。
これだけの営業利益、ROEの向上を実現するための戦略の柱が事業ポートフォリオの見直し。エレクトロニクス事業はさらに大きく、収益性も高く、そこに医療事業が成長事業として加わってくる、ということです。
引用元:太陽HD、中期経営計画、20250828_01.pdf
さらに詳細な戦略についても中計資料には記載がありますので、興味があればご参照ください。
株価は長期上昇推移
近年の太陽HDの事業は好調なので、株価も上昇中です。2年の週足チャートを引用しますが、長期的に安定して上昇を続けていることが分かります。
引用元:マネックス証券、銘柄スカウター
これだけキレイな上がり方をしているチャートも少ないので、安定感は抜群です。それだけ市場の評価が安定して高いとみることが出来ます。
オアシス・マネジメントの存在とTOB思惑
物言う株主として知られるオアシス・マネジメントは、太陽HDの約11%の株を所有する第2位株主です。
近年、そのオアシス・マネジメントは太陽HD経営陣への圧力を強めているといいます。そういった背景もあって還元方針の強化などに踏み切っているともとれます。
また、KKRなどからの買収の提案を受けているとの報道もありました。
太陽HDにKKRなど買収提案、特別委で受け入れ可否検討-関係者 – Bloomberg
こういったTOBの思惑も株価上昇の一因となっています。
太陽HDの配当利回り
そして配当利回りは直近の還元強化で3.5%。過去平均3.0%は上回ります。もっとも、還元強化直後は6%だったので、その後の株価上昇で利回りの妙味は下がっています。
引用元:マネックス証券、銘柄スカウター
株価は先に見たように、日経平均以上に堅調な推移をしています。安値圏とは言えませんので注意してください。
太陽HDの株主還元と業績
配当政策はこれまでに述べてきた通り、当面は総還元性向100%です。DOE5.0も掲げています。
引用元:マネックス証券、銘柄スカウター
通期業績推移はキレイな右肩上がりに成長しています。また、財務面は自己資本比率50%以上、さらに自己資本は積み上げ傾向です。


✅今週のピックアップ銘柄:太陽HDまとめ
太陽HDはソルダーレジストのトップメーカーで、総還元性向100%を発表。さらに中期経営計画で異次元のROE30%、営業利益2倍を目指すとも発表。
また、アクティビストのオアシス・マネジメントが大株主であり、経営陣への圧力を強めています。さらに、KKRなどからのTOBの思惑もあります。
このように、買い材料が多いので市場からの評価は高く、株価は長期上昇推移です。
筆者はまだ保有していませんが、利回りが4%を超える局面があれば狙いたいと考えています。中計の見通しが実現するなら、ずっと持っとけば株価もそれに応じて上がるでしょう。
以降は市場概況です。
市場概況:じわ上げ継続で最高値更新
ここでは、主要な指標を見ながら今週を振り返りつつ、次週での立ち回り方、戦略を考えたいと思います。
🔢 主要指標(2025年9月26日時点)
日経平均 & TOPIX
- 前週末の米国株式市場が主要3指数ともに最高値を更新
- 米FRBの利下げ継続観測がリスク選好を後押し。
- 半導体関連や電子部品株が買われ、日経平均は最高値を更新
今週も出遅れていた一部の値嵩半導体株に資金が流入し、日経平均は再び最高値を更新。ただし、週前半は半導体株だけが上がる状況であったため、人によっては恩恵を受けられないストレスフルな展開。
週後半は9月権利取りもありTOPIXも最高値を更新。


日経平均PERの推移
毎週しつこく書いてますが、過去のPER推移からみた日経平均のPERレンジは総悲観で12倍、総楽観で16倍。
今週も上昇した日経平均のPERは18倍を超えてなお上昇、依然として警戒が必要な水準です。
なお、下の図の薄い緑のレンジがPER14~16倍となりますが、このレンジを大幅に上回っています。


これは来期のEPSの成長を先取りした株価上昇であることも毎週ふれています。
そして似たようなPERの推移はアベノミクスのときにも見られ、このときは本決算発表で日経平均EPSが上昇して一気に適正PERレンジに戻ったことがあります。
今回もそうなることは期待しつつも、引き続き来期に向けてEPSの動向には注意しましょう。
また、10/4の自民党総裁選に向けての緩和路線の期待も大きいものと考えています。小泉氏が優勢との報道もありますので、期待の剥落とともに一時的な下落に備えたいところです。週明けは権利落ち日でもあるので、下がれば買いたい銘柄を準備しておきましょう。
なお、今の価格帯だと下図の赤いセルにいますのでついに18.5倍も近づいてきていますね。EPSが10%成長すればPER16.5倍まで戻れます。

10%成長の場合でもPER14.5倍なら39,747円、15倍で41,118円なので、年末にかけて下がった場合はその辺りが目安になるでしょう。
なお、6,000円の下げは幅としては大きいですが、率にすると13%なのでぜんぜんあり得ます。
騰落レシオ

先週は騰落レシオが下がりましたが、今週は9月権利付き最終日に大きく上昇。
ちなみに、筆者は「25日の騰落レシオが90を下回る水準で買う」、という単純なルールだけでもかなり勝率が上がると考えています。
いまだ上昇の度が過ぎるので本格的な買いは控えますが、上昇し続ける限りはいま持っている現物を大事にガチホで利益を伸ばす戦略でよいと考えています。
空売り比率

そして空売り比率は40倍を切る推移が継続しつつ、週末の上昇で40倍に到達。買い方優勢からの潮目の変化があるかも知れません。
投資主体別 売買状況

先週までで海外勢は2週連続の売り越し。個人も売っています。証券自己が買いを継続しているものの、海外勢の買いの勢いは細ってきています。
事業法人による自社株買いは継続的に続いているものの、額がやはり減っていますね。
今週は総裁選の結果とその政策期待、米利下げ観測から先高観があり、おそらく海外勢が買ってきてると考えられます。それが続くかどうかは総裁選の結果、利下げが継続できるか次第です。
市場概況まとめ
日経平均のPERは過去レンジ(12〜16倍)の上限を超えている。このままEPSの伸びが伴わないまま株価が上昇すると、PERが16倍を超える危険な兆候となる。
つまり現在の株価水準は「かなり割高」と評価されるが、今後の企業収益の伸びが伴うかどうかが最大の焦点。
図表などは世界の株価と日経平均先物 リアルタイム チャート及びマネックス証券の銘柄スカウターを引用しています。










