ビットコインはなぜ上がった?2026年8月の上昇理由を5つ解説
ビットコインが再び大きく上昇しました。
しばらく価格が低迷していたこともあり、「もっと安いときに買っておけばよかった……」と思った人もいるかもしれません。
今回の上昇には、単純に「ビットコインを買う人が増えた」というだけではなく、いくつかの材料が重なっています。
特に面白いのが、久しぶりに注目されているハードフォークです。
ビットコインを持っている人にとっては、「分裂するってどういうこと?」「今持っているビットコインはどうなるの?」と気になるところでしょう。
今回は、ビットコインが上昇した背景として挙げられている5つの理由と、ハードフォークについて整理してみます。
ビットコインは8月に大きく反発
まず、今回の値動きを確認しておきます。
ビットコインは7月1日に5万7950ドル前後まで下落したあと、8月25日には8万ドル前後まで回復しています。
さらに8月19日からの1週間だけでも、およそ2割上昇したということになります。
ここまで短期間に動くと、「何か大きなニュースがあったのでは?」と考えてしまいます。
実際には、1つの材料だけで説明するのは難しく、売り圧力の低下やアメリカ政府による買い入れへの思惑、量子コンピューターへの対応、ハードフォーク、アメリカの長期金利など、複数の要素が重なったとされています。
ビットコイン上昇の理由① 売りたい人の売りが一巡した
最初の理由として挙げられているのが、ビットコインを売らなければならなかった人たちの売りが一巡したことです。
相場というと「買いたい人が増えれば上がる」と考えがちですが、実際には「売りたい人が減る」ことも価格上昇につながります。
代表例として紹介されているのが、ビットコインを大量に保有するストラテジー社です。
同社は夏にビットコインを売却しており、7月末から8月上旬にかけて約3300枚を1枚あたり6万4000ドル前後で売却したとされています。
ところが、その後8月下旬には4603枚を平均8万318ドルで買い直しています。
つまり、安いところで売って高いところで買い戻すという、かなり苦しい動きになっています。
こうした売却の背景として、配当の支払いや借金の返済、新しい設備への投資など、価格とは関係なく資金が必要になる事情があるとされています。
こうした「どうしても売らなければならない人」の売りが一巡したことが、8月の上昇を支えた可能性があるというわけです。
ビットコイン上昇の理由② アメリカ政府が購入するかもしれないという思惑
2つ目は、アメリカ政府がビットコインを購入する可能性です。
8月19日にホワイトハウスで暗号資産やテクノロジー関連企業のトップが集まる会合が開かれ、そこで政府がまとまった量のビットコインを購入する可能性について質問が出たと説明されています。
これに対して大統領側からは、そうした話が出ていることや、提言があれば聞くという趣旨の発言があったとされています。
ただし、ここは注意が必要です。
「アメリカ政府が大量のビットコイン購入を発表した」という話ではありません。購入量や時期、具体的な方法まで決まったわけではないとされています。
SNSでは「アメリカが大量購入を発表した」といった情報も広がったようですが、会場にいた報道機関はそのような発表を確認していないとのことです。
つまり、実際に政府が大量購入したという事実ではなく、将来的に買うかもしれないという期待が相場を刺激したと考えたほうがよさそうです。
ビットコイン上昇の理由③ 量子コンピューターへの備えが進んだ
3つ目は、少し意外な量子コンピューターです。
量子コンピューターが高性能になれば、ビットコインの暗号技術が将来的に破られるのではないかという懸念があります。
Googleの量子部門が発表した論文について触れられており、ビットコインの鍵を破るために必要な規模が、従来の想定より小さい可能性が示されたとされています。
ただし、現時点ですぐビットコインが危険になるという話ではありません。
一方で8月26日には、スタークウェアという企業が量子コンピューターに強い形の取引をビットコインの本番環境で記録したと紹介されています。
つまり、量子コンピューターによる将来的なリスクについても、「もう打つ手がない」という状態ではなく、対策を進められる課題になってきたという見方です。
ビットコイン上昇の理由④ ハードフォークで新しい暗号資産が生まれる
今回の話で特に興味深いのが、ビットコインのハードフォークです。
ハードフォークとは簡単にいうと、現在のビットコインの記録をもとにして、別のルールで動く新しい帳簿を作るようなものです。
今回は、新しく「Eキャッシュ(ECX)」という暗号資産が生まれる予定です。
ビットコインのハードフォークは今回が初めてではありません。
有名なのが2017年8月1日のビットコインキャッシュです。当時もビットコインを保有していた人に、同じ枚数のビットコインキャッシュが付与されました。
今回も、本番時点で1BTCを保有していれば1ECXが割り当てられるという説明になっています。
「ビットコインを持っているだけで、新しい暗号資産がもらえる」という話なので、これだけ聞くとかなり魅力的に感じます。
ただし、取引所に預けている人は要注意
ここが今回のハードフォークで一番重要なところだと思います。
新しい暗号資産を受け取れるかどうかは、ビットコインをどこで保管しているかによって変わります。
自分で秘密鍵を管理している場合と、暗号資産取引所に預けている場合では対応が異なります。
ビットフライヤーは付与について未定、GMOコインは付与対象とする予定だが方法は未定、SBI VCトレードは付与もしくは金銭の交付を検討、ビットバンクは一定期間ビットコインの入出金を停止したと紹介されています。
つまり、同じビットコインを持っていても、利用している取引所によって対応が違うわけです。
ハードフォークが近づいたからといって、「どの取引所でも同じように新しいコインがもらえる」と考えるのは危険です。
実際に保有している人は、利用中の取引所から最新情報を確認しておいたほうがよさそうです。
ハードフォークだけを理由にビットコインを買うのはどうなのか
「新しい暗号資産がもらえるなら、今からビットコインを買えばいいのでは?」と思う人もいるでしょう。
ただ、これは購入理由としては考えないほうがいいでしょう。
そもそも新しい暗号資産が本当に付与されるのか、どのような条件になるのか、受け取った後にどれくらいの価値が付くのかは別問題です。
「無料でもらえるかもしれない」という部分だけを見て、値動きの大きいビットコインを買うのは、順番が逆でしょう。
ビットコインを買うのであれば、ハードフォークとは別に「なぜビットコインを保有するのか」を考えておく必要があります。

ハードフォークで受け取った暗号資産の税金にも注意
もう1つ気になるのが税金です。
ハードフォークによって新しい暗号資産を受け取った時点では課税されない一方、取得価格は0円として扱われ、売却した際には売却金額全体が所得になります。
暗号資産の税制は今後変更される可能性もあるため、実際にハードフォークで新しい資産を受け取った場合は、その時点の国税庁などの最新情報を確認したほうがよいでしょう。
「タダでもらったから全部利益」という単純な話ではなく、受け取った後に売却した場合の税金まで考えておく必要があります。
ビットコイン上昇の理由⑤ アメリカの長期金利への対応
5つ目は、アメリカの長期金利です。
8月19日にアメリカ財務省が、長期国債の買い戻しについて1回あたりの上限を20億ドルから最低40億ドルに引き上げると発表したとされています。
これは単純に「お金をばらまく」という政策ではありません。短期国債を新たに発行して資金を用意し、長期の借金を短期の借金に入れ替えるような動きです。
ところが市場では、アメリカ政府が長期金利を抑えようとしているのではないかと受け止められたとされています。
そこで出てきたのが、通貨の価値が薄まることへの警戒です。
その資金の逃避先として金やビットコインが意識され、ビットコイン価格にも影響したという説明です。
さらに、8月19日から22日の4日間では空売りの強制決済が発生し、その後にはアメリカのビットコイン現物ETFにも大きな資金が流入したとされています。
最初のきっかけは空売りの買い戻しで、その後に現物の買いが追いついたという流れです。
結局、ビットコインはなぜ上がったのか
ここまで5つの理由を見てきました。
個人的に面白いと思うのは、今回の上昇を「これが決定的な理由だった」と1つに絞るのが難しいところです。
売らなければならない人の売りが一巡したところに、アメリカ政府による購入への思惑、量子コンピューターへの対応、ハードフォークへの期待、そして長期金利をめぐる市場の思惑が重なった。
そう考えると、下落を押さえていた力が弱くなったところに、いくつもの追い風が吹いたという見方が分かりやすいかもしれません。
一方で、政府による購入など、まだ確定していない「思惑」も含まれています。
ニュースを見ていると、ビットコインが上がった理由を後からいくらでも説明できてしまいます。
だからこそ、「上がった理由が5個もあるから、これからも上がる」と単純に考えるのは危険だと思います。
ビットコインを持つなら「下がったとき」を先に考える
今回の話で、個人的に一番重要だと思うのがここです。
ビットコインは価格変動が大きい資産です。上昇しているときは「もっと買っておけばよかった」と思いますが、下落するときは逆の感情になります。
だからこそ、買う前に「どこまで下がっても自分は大丈夫なのか」を考えておくことが重要です。
たとえば100万円をビットコインに投資したとして、価格が3割下がれば評価額は70万円ほどになります。4割下がれば60万円、半分になれば50万円です。
1000万円を投資するなら、半分になった場合は500万円です。
この数字を見ても生活に影響しないのであれば、まだ耐えられるかもしれません。しかし、生活費やローンの返済に影響するようなら、投資額が大きすぎる可能性があります。
特に借りたお金や、近いうちに使う予定のお金でビットコインを買うのは避けたいところです。
ハードフォークをきっかけに保管方法も確認しておきたい
今回のハードフォークの話は、単純に「新しい暗号資産がもらえる」という話だけではありません。
むしろ、自分のビットコインをどこで、どのように管理しているのかを確認するきっかけとして考えたほうがよいでしょう。
取引所に預けているなら、付与されるのか、付与される場合はどのような方法なのか、入出金が停止される予定はあるのか。
ハードフォークのようなイベントがあると、取引所ごとの対応の違いがかなりはっきりします。
「自分の取引所なら当然もらえるだろう」と思い込まず、公式発表を確認しておくことが大切です。
まとめ:上昇理由より、自分がどう保有するかが大事
今回のビットコイン上昇には、複数の要因が重なっていました。
特に、売り圧力の低下、アメリカ政府による購入への思惑、量子コンピューターへの対応、ハードフォーク、アメリカの長期金利という5つの材料があります。
その中でもハードフォークは、実際にビットコインを保有している人に直接関係する可能性があります。
ただし、ハードフォークで新しい暗号資産がもらえるからといって、それだけを理由にビットコインを買うのは違います。
ビットコインは大きく上がることもあれば、大きく下がることもあります。
「いくらまで下がっても大丈夫か」「生活に必要なお金を入れていないか」「どこで保管するのか」。
こうした部分を先に決めておけば、価格が上がったときにも下がったときにも、必要以上に振り回されにくくなります。
上昇理由を探すことも大切ですが、それ以上に、自分がどのくらいのリスクを取ってビットコインを持つのかを決めておくことのほうが重要なのかもしれません。

