AI株急落でも慌てる必要はない?長期投資家が見るべき本当のポイント
先週まで史上最高値更新でお祭りムードだった日本株と米国株。しかし今週は様相が一変しました。
週明けに大きく下落したかと思えば、週の途中で急反発。そして金曜日には再び大幅安。特にAI関連や半導体株に投資している人にとっては、まさに心臓に悪い一週間だったのではないでしょうか。
しかし、こうした荒れた相場の裏側では見逃せないニュースもありました。
なんとSpaceXが7月7日にNASDAQ100へ採用されることが決定したのです。
市場が不安定なときでも、世界の成長企業は着実に前へ進んでいます。
そして今回、最もお伝えしたいのは次の事実です。
今週、新NISAで人気の投資信託の中で最も下落したのはFANG+連動ファンドで、下落率は6%を超えました。もし1億円投資していたら、たった1週間で600万円以上資産が減った計算になります。
数字だけを見ると恐ろしく感じます。
しかし同じFANG+を2020年から見てみるとどうでしょうか。
なんと約635%の上昇です。
つまり1億円が7億円近くになった計算です。
今週最も大きく下げた資産が、長期では最も大きく上昇してきた資産でもあるのです。
この事実こそ、今回の相場で最も重要なポイントです。
高いリターンを得るためには、高いリスクを受け入れなければなりません。
AI相場は終わったのか。
日経平均7万円は天井だったのか。
そんな不安を感じるのも無理はありません。しかし、短期的な値動きだけで判断すると大切なものを見失います。
今回は今週の市場を振り返りながら、長期投資家が本当に見るべきポイントを整理していきます。
今週1週間で資産は増えた?減った?
まずは新NISAで人気の投資信託の動きから確認してみましょう。
今週はほぼ全面安となりました。
特に大きく下落したのはAI・半導体関連です。
中でもFANG+連動ファンドはマイナス6.16%と大きな下落となりました。
しかも投資信託の基準価額には時差があるため、金曜日の米国株下落分が反映されると、さらに下落して見える可能性があります。
こうした状況を見ると不安になりますが、視点を少し広げてみましょう。
2024年から見ると景色はまったく違う
今週だけを見ると大きな下落ですが、2024年からの累積リターンを見ると状況は全く異なります。
FANG+やNASDAQ100は依然として圧倒的なリターンを維持しています。
さらに2020年から見ると、
という結果です。
つまり、
大きく上昇する資産ほど、大きく下落することもある
ということです。
リターンとリスクは必ずセットです。
SOX指数も同じです。
上昇局面では驚異的なスピードで伸びますが、下落局面ではその分だけ大きく下がります。
このような相場だからこそ、この基本原則を改めて確認する必要があります。
今週の米国株の動き|NASDAQは5日連続下落
今週の主要指数は次のような結果となりました。
一見すると米国株全体が崩れたように見えますが、実はそうではありません。
ダウ平均はプラスで終わっています。
つまり売られたのは市場全体ではなく、
AI関連・半導体関連・マグニフィセント7(M7)
だったのです。
マイクロン決算は絶好調だった
今週注目されたのがメモリ大手マイクロンの決算です。
AI向けGPUにはHBM(高帯域幅メモリ)が不可欠です。
このHBM市場を支えているのが、
など限られた企業です。
決算内容は驚異的でした。
- 売上:前年比4.5倍
- 利益:前年比15倍
さらにCEOは、
「HBMの供給不足は2027年末まで続く可能性がある」
との見方を示しました。
AI需要が一時的なブームではないことを示す内容です。
なぜ好決算なのにNASDAQは下落したのか
理由はシンプルです。
メモリ価格の上昇は、
だからです。
AIデータセンターを運営する企業は大量のメモリを必要とします。
メモリ価格が上昇するとコスト負担が増えます。
その結果、
などが売られました。
今週はM7全体で約91兆円の時価総額が失われています。
AI市場そのものが弱くなったわけではなく、
AIの中で勝ち組と負け組が分かれ始めた
という見方もできます。
OpenAI上場延期報道も市場を揺らした
さらに金曜日にはOpenAIの上場が2027年まで延期される可能性が報じられました。
これにより、
- AI投資資金の流入が遅れるのではないか
- 巨額投資を回収できるのか
という不安が広がりました。
その結果、
- NVIDIA
- ソフトバンクグループ
- 半導体関連株
に売りが集中しました。
ただし、AI投資が過大ではないかという議論は今に始まった話ではありません。
1年、2年前から言われ続けてきたことです。
それでも市場はここまで成長してきました。
今回の下落はAIバブル崩壊ではなく、
急騰後の健全な調整
と考える方が自然でしょう。
SpaceXがNASDAQ100採用へ
一方でポジティブなニュースもあります。
SpaceXは7月7日にNASDAQ100へ組み入れられることが決定しました。
上場からわずか1か月足らずでの採用です。
個別株で次の勝者を当てるのは難しいですが、インデックス投資であれば、こうした成長企業を自動的に取り込むことができます。
これこそインデックス投資の大きな魅力です。
今週の日本株|日経平均は大乱高下
日本株も激しく揺れました。
日経平均は史上最高値を更新したかと思えば、週末には7万円を割り込んで終了しました。
まさにジェットコースター相場です。
木曜日は、
+3,191円(歴代4位の上昇幅)
金曜日は、
-3,500円超(歴代3位の下落幅)
となりました。
しかし数字の大きさに惑わされてはいけません。
日経平均が7万円近い水準だからこそ、値幅も大きく見えているだけです。
率で見ると、過去にも十分あり得る範囲の値動きです。
日経平均を動かしたのはたった4銘柄
今週の日経平均を大きく動かしたのは、
でした。
木曜日の急騰も、金曜日の急落も、主役は同じAI・半導体関連株です。
金曜日の日経平均はマイナス4.15%でしたが、TOPIXはマイナス1.32%でした。
つまり、
日本株全体が崩れたわけではない
ということです。
指数の構造上、値がさ株の影響が大きく出ただけでした。
円安はさらに進行
ドル円は161円台後半まで進みました。
2024年夏につけた161円96銭に迫る水準です。
円安は、
- 輸出企業には追い風
- 外貨資産保有者にも追い風
となります。
一方で、
- エネルギー価格上昇
- 食料価格上昇
といったデメリットもあります。
投資家としてはメリットとデメリットの両面を理解しておく必要があります。
世界株はどうだったのか
AI関連の混乱は世界中へ波及しました。
特に韓国市場は象徴的でした。
なんと今週だけでサーキットブレーカーが2回発動しています。
韓国市場では、
- SKハイニックス
- サムスン電子
など半導体企業の存在感が極めて大きく、指数全体がAI関連株に依存しています。
上がる時も大きく上がりますが、下がる時も大きく下がります。
まさに集中投資のリスクを示す事例でした。
一方で、
- インドは原油安を背景に3週連続上昇
- 欧州は半導体関連が軟調
- 中国・香港は景気不安で低調
と、地域によって状況は大きく異なっています。
乱高下相場で思い出したい「ミスターマーケット」
こういう相場になると、ベンジャミン・グレアムの有名な教えを思い出します。
それが、
ミスターマーケット
です。
市場は毎日やってきて価格を提示します。
しかしその価格は非常に感情的です。
機嫌が良い日は異常な高値をつける。
機嫌が悪い日は異常な安値をつける。
投資家がやるべきことは、その感情に振り回されることではありません。
むしろ利用することです。
株価が下がった時こそ、将来有望な資産を安く買えるチャンスになります。
今回の下落で大切なこと
今回の相場で最も重要なのは時間軸です。
短期で見れば恐怖しかありません。
しかし長期で見ると景色は全く変わります。
SOX指数は今週大きく下落しました。
それでも過去2年半で約3倍近く上昇しています。
S&P500も歴史的に見れば何度も10%前後の調整を経験してきました。
リーマンショック。
コロナショック。
中東情勢による急落。
そのたびに市場は立ち直り、過去最高値を更新してきました。
相場は一直線には上がりません。
上昇と下落を繰り返しながら成長していくものです。
まとめ|下落はラッキー、上昇はハッピー
今回の下落は暴落ではありません。
市場が急上昇した後の健全な調整です。
投資家がやるべきことはシンプルです。
ベンジャミン・グレアムはこう語っています。
「投資家にとって最大の敵は、おそらく自分自身である」
そして、ジョン・ボーグルはこう言いました。
「Stay the Course(航路を守れ)」
株価が上がれば資産が増えてハッピー。
株価が下がれば安く買えてラッキー。
どちらに転んでも、長期投資家にとっては前向きに考えることができます。
気分屋のミスターマーケットに振り回されず、自分の投資方針を守り続けることこそが、最終的に大きな成果へとつながるのです。

