暴落で売った人だけが損をした1週間|長期投資家が学ぶべき「待つ力」
月曜日は大暴落、それでも金曜日にはほぼ元通り
今週の相場は、多くの投資家にとってまさにジェットコースターのような1週間でした。
月曜日、日本株は今年2番目となる大幅下落を記録しました。ニュースを見て不安になった人も多かったでしょう。しかし、その後の相場は急速に回復し、金曜日には大きく値を戻しました。
実はこの現象は日本株だけではありません。米国株も同じでした。
週の途中にはS&P500やNASDAQ100も大きく下落しましたが、週末にはほぼ元の位置まで回復しています。
つまり、1週間全体で振り返ると「大騒ぎするほど何も変わっていなかった」ということです。
しかし、この1週間には長期投資家にとって非常に重要な教訓が詰まっています。
それは、
「慌てて売った人が損をし、どっしり構えた人が報われた」
ということです。
暴落が起きたとき、私たちはどう考えればよいのか。今週はその教科書のような相場でした。
今週の投資信託は真っ赤、それでも長期で見れば圧倒的なプラス
まずは新NISAで人気の投資信託の動きを見てみましょう。
今週は月曜日の急落の影響もあり、週間騰落率ランキングは久しぶりに全面真っ赤になりました。
日経平均連動型、TOPIX、S&P500、全世界株式、NASDAQ100、SOX指数、新興国株式、ゴールド、FANG+など、人気の投資対象が軒並み下落しました。
特に大きく下げたのはゴールドです。
週間で約8.6%下落し、FANG+も約5%近い下落となりました。
数字だけを見るとかなりショックです。
しかし金曜日には日米株式市場が大きく反発しており、その影響は投資信託の基準価額にも順次反映される見込みです。
ここで重要なのは、短期ではなく長期で見ることです。
2024年初からの成績を見ると、ゴールドは約270%、FANG+は約124%上昇しています。
TOPIXや国内株式インデックスも70%を超える上昇率となっています。
もし2024年初にこれらへ5,000万円投資していたなら、資産は3,500万円以上増えていた計算になります。
さらに2020年初から振り返ると、その差はさらに大きくなります。
FANG+は約652%、NASDAQ100は約387%、最も成績の低い新興国株式でも約151%の上昇です。
たった1週間の下落だけを見ると不安になりますが、長期で見ると景色はまったく違います。
これこそが長期投資の力です。
米国株は「下げて戻した」だけだった
今週の米国市場を一言で表すなら、
「下げて戻した1週間」
です。
週の前半は軟調な展開でした。
特に水曜日にはダウ平均が953ドル安となり、一時5万ドルを割り込みました。
しかし翌日の木曜日には929ドル高という大反発。
さらに金曜日も続伸し、週末には再び5万1,000ドル台まで回復しました。
結果として週全体では、
となり、ほぼプラスで終えています。
もし水曜日の急落を見て売却し、「もう少し下がったら買い戻そう」と考えたらどうなったでしょうか。
翌日の急騰で買い戻すタイミングを失った可能性が高いでしょう。
プロでも短期の値動きを当て続けることは困難です。
だからこそ長期投資家は、相場を予想するのではなく保有し続けることに集中するべきなのです。
CPIショックは本当に怖かったのか
水曜日の急落の背景には、アメリカの消費者物価指数(CPI)がありました。
5月のCPIは前年比4.2%上昇。
3年ぶりに4%を超えたことで市場は警戒感を強めました。
しかし重要なのは数字の中身です。
今回の上昇要因の大部分はガソリン価格でした。
一方でエネルギーを除いたコア部分は市場予想を下回っています。
つまり、表面上はインフレ再燃に見えても、中身を見るとそこまで深刻ではありませんでした。
その証拠に、債券市場は非常に冷静でした。
本当にインフレ懸念が高まるなら長期金利は大きく上昇するはずですが、今回は大きな反応がありませんでした。
市場は、
「ガソリン価格による一時的な影響」
と判断していたのです。
長期投資家にとって重要なのは、インフレ率そのものではなく企業利益が成長を続けられるかどうかです。
物価が4%上昇しても、企業利益がそれ以上に伸びれば株主の利益は増え続けます。
だからこそ、インフレを理由に株式を手放すのは得策とは言えません。
恐怖指数は急上昇、それでも本当のパニックではなかった
今週は投資家心理も大きく揺れました。
恐怖指数と呼ばれるVIXは一時22まで上昇。
Fear & Greed Indexも強欲ゾーンから恐怖ゾーンへ急落しました。
しかし市場全体をよく見ると、本格的なパニックとは少し違いました。
実際には資金が市場から逃げたわけではなく、半導体など人気銘柄から出遅れ株へ資金が移動していたのです。
本当に危険な相場では、ほぼすべての銘柄が売られます。
今回はそうではありませんでした。
つまり、市場には恐怖があったものの、崩壊ではなかったのです。
長期投資家にとっては、むしろ安く仕込めるチャンスとも言える状況でした。
日本株は今年2番目の暴落から急回復
今週の日本株はさらに激しい値動きでした。
月曜日の日経平均は2,563円安。
今年2番目の下落幅となりました。
朝から心臓を掴まれるような展開だったことを覚えている方も多いでしょう。
しかし金曜日には1,802円高。
ほぼ下落分を取り返しました。
まさに「行ってこい」の相場です。
月曜日の最も怖い場面で売却した人は、この大反発を丸ごと逃しています。
一方で、何もせず積立を続けた人は安値で買い増しができました。
長期投資で最も避けるべきなのは、
「安く売って高く買い戻すこと」
です。
今週はその典型例となりました。
欧州は利上げ、それでも株価は上昇
全世界株を保有している人にとっては欧州の動向も重要です。
今週、ECB(欧州中央銀行)は2023年以来となる利上げを実施しました。
これまでの利下げ・金融緩和の流れが転換した歴史的な出来事です。
背景には中東情勢によるエネルギー価格上昇があります。
それでも欧州株の代表指数であるストックス600は週間で2%以上上昇しました。
市場はすでに利上げを織り込んでいたためです。
投資の世界では「事実」よりも「予想との差」の方が重要であることが改めて示された1週間でした。
長期投資は農業に似ている
私は長期投資を農業に例えることがあります。
畑に種をまいても、翌日には収穫できません。
何年もかけて育てるものです。
その間には晴れの日もあれば雨の日もあります。
もちろん嵐の日もあります。
今週の月曜日の暴落は、まさに嵐でした。
しかし優秀な農家は、嵐が来たからといって慌てて種を掘り返したりしません。
嵐は必ず過ぎ去ることを知っているからです。
投資も同じです。
暴落のたびに売却していては、複利の力を活かすことができません。
むしろ価格が下がったときこそ、将来の収穫のために安く種をまくタイミングです。
チャーリー・マンガーが残した言葉
Charlie Mungerはこう語っています。
大きく儲けるのは、株を売ったり買ったりする時ではない。待っている時だ。
今週ほどこの言葉が当てはまる相場はなかったでしょう。
月曜日の暴落で売った人は損失を確定しました。
一方で何もしなかった人は、金曜日の大反発をそのまま受け取ることができました。
また、マンガーはこんな言葉も残しています。
複利の最も重要なルールは、不必要に中断しないことだ。
長期投資とは、複利の力を信じて待ち続けるゲームです。
途中で何度も売買を繰り返せば、その力は失われてしまいます。
まとめ|下落はラッキー、上昇はハッピー
今週の相場が教えてくれたことは非常にシンプルです。
相場には回復力があります。
どんなに悪いニュースで急落しても、時間が経てば冷静な評価に戻ることが少なくありません。
今回も、
といった材料が次々と出ました。
しかし1週間後に振り返ると、ほとんどが解消され、株価は元の水準へ戻っていました。
だからこそ長期投資家は慌ててはいけません。
株価が上がれば保有資産が増えてハッピー。
株価が下がれば優良資産を安く買えてラッキー。
どちらに転んでも長期投資家にとっては前向きに捉えることができます。
来週は日米の中央銀行が金融政策を発表する重要な週です。
再び相場が大きく動くかもしれません。
それでも私たちがやることは変わりません。
嵐が来ても種を掘り返さない。
淡々と畑を耕し続ける。
それが長期投資で成果を得るための王道です。

